扶養内で業務委託として働く場合、収入が増えてくると確定申告の必要性が生じます。
確定申告には大きく分けて「白色申告」と「青色申告」がありますが、
どちらを選ぶかによって節税効果や記帳の手間が異なります。
本記事では、扶養内で働く人が白色申告と青色申告のどちらを選ぶべきか、
そしてそれぞれの特徴について詳しく解説します。
関連記事⇒ 知らないとやばい!!扶養内の業務委託で働く主婦は、確定申告をしなければならないのか?
目次
1.白色申告と青色申告の違いとは?
1-1. 白色申告
白色申告は、最もシンプルな申告方法です。
かつては青色申告と比べて手続きや記帳の手間が少なく、選ばれることが多かったのですが、
2014年以降の税制改正により白色申告でも記帳義務が課されるようになりました。
それでも、青色申告に比べて手続きが少ない点が魅力です。
【白色申告の主な特徴】
記帳義務:複式簿記ではなく、単式簿記(収入と支出の簡単な記録)で良い。
控除額:青色申告特別控除のような特典はなく、節税効果が薄い。
申請手続き:青色申告のように事前に申請する必要がなく、気軽に始められる。
白色申告は、収入が少なく、会計にあまり手間をかけたくない人に適していますが、
節税効果が少ないため、事業が成長してくると青色申告に切り替えることを検討すべきでしょう。
1-2. 青色申告
青色申告は、一定の要件を満たすことで節税効果の高い申告方法です。
記帳や提出書類の管理に多少の手間がかかりますが、青色申告特別控除や赤字の繰越制度など、
さまざまなメリットがあります。
【青色申告をしたら扶養からはずれる?】
※基本的には「年収 − (控除 + 経費) =130万円以下」であれば扶養から外れることはありません。
【青色申告の主な特徴】
記帳義務:複式簿記による詳細な帳簿の作成が必要。会計ソフトを使えばこの負担を大幅に軽減できる。
青色申告特別控除:最大65万円の特別控除が受けられる。10万円控除もあり、
申告の形式によって適用が異なる。
赤字の繰越し:事業で赤字が出た場合、その赤字を最大3年間繰り越して、
翌年以降の所得から差し引くことができる。
専従者給与の控除:家族を手伝いとして雇用した場合、その給与を経費として控除できる。
青色申告を選ぶことで、特に節税効果が大きい点が魅力です。
しかし、複式簿記を求められるため、簿記の知識がない場合は、
会計ソフトを使って管理を行うことが現実的です。
2.おさらい!扶養内で働く場合に注意すべき収入の壁
業務委託として扶養内で働く場合、収入に関しては「扶養の範囲」という重要なポイントがあります。
以下の収入基準を理解し、自分の働き方に合わせた選択をしましょう。
2-1. 所得税の扶養の範囲
扶養控除を受けるためには、年間の所得が48万円以下である必要があります。
業務委託の場合、収入から経費を差し引いた金額が所得となるため、
経費の計上次第で扶養内に収まる可能性があります。
2-2. 健康保険の扶養の範囲
健康保険の扶養は、年間の収入が130万円未満である場合に適用されます。
こちらも収入から経費を差し引いた金額で判断されることもあります(※参照)
扶養から外れると国民健康保険に加入し、自分で保険料を負担しなければなりません。
2-3. 住民税の基準
市県民税については、扶養親族がいない場合で通常、
合計所得金額が45万円(注)を超えると課税になります。
(注 お住まいの都道府県により異なります、私の居住地の場合です)
3.確定申告が必要なケースと申告方法
3-1. 収入の種類によって変わる申告の必要性
業務委託としての収入は、「事業所得」または「雑所得」に該当します。
どちらも一定の収入を超えると確定申告が必要です。
事業所得:継続的な事業活動としての収入。開業届を提出している場合、事業所得に該当します。
雑所得:副業的に得た収入で、事業所得に該当しないもの。
上記のどちらにしろ年間の所得が48万円を超える場合、所得税の申告が必要となります。
3-2. 確定申告の流れ
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の収入と支出を基に計算し、
翌年の2月16日から3月15日までに行います。具体的な流れは以下の通りです。
- 収入と経費の記帳:日々の収入と支出を正確に記録することが大切です。
- 必要書類の準備:領収書や請求書、通帳のコピーなど、収入や経費を証明する書類を整理します。
- 申告書の作成:国税庁のe-Taxシステムや会計ソフトを使って、申告書を作成します。
- 税務署への提出:作成した申告書を税務署に提出します。オンラインでの提出も可能です。
4.扶養内での業務委託における青色申告のメリット
扶養内での業務委託であっても、青色申告を選択することで多くのメリットがあります。
特に、収入が増えてくると、節税効果が大きくなるため、積極的に検討する価値があります。
4-1. 最大65万円の控除
青色申告特別控除の中で最大のメリットは、65万円の控除です。これにより、
税金の負担を大幅に減らすことができます。
4-2. 赤字の繰越し
業務委託の仕事で初年度に赤字が出た場合、その赤字を翌年以降の利益から控除できるため、
長期的な節税が可能です。赤字の繰越しは青色申告を選択した場合のみ適用されるため、
将来的な利益を見据えた選択が必要です。
4-3. 家族の専従者給与を経費に
青色申告では、配偶者や子供を「専従者」として事業に従事させる場合、
その給与を経費として計上することができます。こ
れは、扶養内で働いている人でも、家族を事業に巻き込んで節税を図る一つの手段です。
5.会計ソフトで確定申告を簡単に
青色申告は節税効果が大きい一方で、記帳や複式簿記の管理が必要で、手間がかかります。
しかし、近年では多くの便利な会計ソフトが登場しており、
特に青色申告においてはその恩恵を最大限に活用することができます。
5-1. 会計ソフトの利点
会計ソフトを使うことで、以下のようなメリットがあります。
自動仕訳機能:銀行の取引履歴やクレジットカードの明細を自動的に取り込んで仕訳を行う機能があり、
入力の手間が大幅に削減されます。
申告書の自動作成:収支データを入力するだけで、
青色申告に必要な申告書類を自動的に作成してくれるため、複雑な計算や書類の準備が不要です。
税務署へのオンライン提出:e-Taxに対応しているソフトを使えば、
税務署への申告もオンラインで完結でき、時間と手間が省けます。
5-2. おすすめの会計ソフト
申告の手続きが不安な方には、初心者でも使いやすい会計ソフトの導入をおすすめします。
特に、以下のような会計ソフトは人気があり、扶養内で業務委託をしている方にも最適です。
freee:クラウド型の会計ソフトで、簡単に収支を記録し、申告書類を自動で作成できます。
詳細はこちら⇒ 初めて会計ソフトを導入する方におすすめ!【freee会計】
マネーフォワード クラウド会計:こちらも人気のあるクラウド会計ソフトで、
自動仕訳機能が充実しており、手間をかけずに申告が可能です。
詳細はこちら⇒ はじめてでも安心のサポート体制 マネーフォワード クラウド確定申告
弥生シリーズ:長年愛され続けてきた老舗の会計ソフトで細かい仕訳や帳簿の設定が可能で、
会計の知識がある人にとっては非常に使い勝手の良いソフトです。
詳細はこちら⇒ 弥生会計 初年度無償キャンペーン
5-3. 会計ソフトの導入で青色申告をもっと簡単に
申告の手間を軽減し、最大限の節税効果を得るためには、
会計ソフトの導入が非常に効果的です。初めての確定申告でも安心して取り組むことができるので、
ぜひ自分に合ったソフトを選んで導入してみてください。
6.まとめ
扶養内での業務委託では、収入がそれほど多くないうちは白色申告でも良いかと思います。
収入が増えれば節税効果の大きい青色申告を選んだ方が断然お得です。
記帳や複式簿記の手間を軽減するためには、会計ソフトの活用が不可欠です。
無料で試せるソフトもあるので、まずは試してみて、確定申告の準備を整えましょう。